先週木曜には、真鶴町教育委員会と自治会連合会の共催で開かれた '成人学級' に参加してきました。
先生は、ぺぺコーヒー店主であり、地域おこし協力隊として故郷・真鶴に戻ってきた松木一平さん。
港町の空気にぴったりで、実際に真鶴港の目の前という立地で'港喫茶'という新ジャンルを切り拓きながら、カフェ文化がないと言われた真鶴町で、しっかりと商業としてのにぎわいもつくっている方です。
その温かい人柄と鋭い視点に惹かれてか、会場には多くの町民の方々が集まっていました。
恥ずかしながら、私は「地域おこし協力隊=やりたい人が自由に名乗り出るもの」だと思ってきました。
けれど実際には、総務省の制度のもと、都市部から地方に移住し、地域課題の解決に取り組む公的な仕組みで、公募・審査を経て選ばれる、まさに'志ある人'の挑戦です。
先日、総務大臣にお会いした際に、総務省の組織図概要をいただき、
「え!税務も、サイバーセキュリティも、電波通信も、消防まで…総務省!?」と、あまりの守備範囲の広さにびっくりしたのですが、「地方創生も総務省の管轄なのか…」と勉強になったばかりの(非常に不勉強ゆえに一生懸命知識の書庫を埋めている最中の)私は、興味津々で講義に臨ませていただきました。
松木さんから以前 '真鶴の現状に危機感を覚え、3年前に帰郷した' とお聞きしていましたが、実際に事業を始め、町の魅力を掘り起こし、新たな形にしてきた視点からのお話は、説得力にあふれ、とても学びの多い時間でした。
また真鶴町の懐かしい写真のスライドから「古き良き時代」の真鶴町を知っている町の皆様の、懐かしそうに映像を見る横顔が、私にはとてもとても素敵に映りました。
「皆さんが大切にしてきた’真鶴町’とは実際のところどんな町なのか?」
まだまだ考えて行かねければならないと感じられる時間にもなりました。
印象的だったのは、資料の最後にあった2つの言葉。
・積小為大
・道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言(ざれごと)である
(私の芸術的な殴り書きと共に…で、申し訳ありません。苦笑)
どちらも二宮尊徳先生の教えだそうです。
私も日々、町を歩きながら、多くの方のお話を聞いています。
お困りごとや要望は一人ひとり違っていても、そのような'枝葉'は、'根っこ'にある
「真鶴で安心して、幸せに暮らしたい」
にどれもつながっているのだと強く感じます。
新たな町長さんが就任してから、「町を変えたい」という思いが見える一方で、急な変化に戸惑いの声もたくさん聞かれまました。
これまでとは比べ物にならないようなスピードで行政が変化していくことや、これまで表面上には見えていなかった、町の(おおよそ)30年分の課題が一気に噴出した事への驚き…
これは、言葉を選ばずにお伝えするならば、私たち町民にとって '絶望感' に近い心情を煽ったのではないでしょうか。
でも最近では、町の皆さんの '町を見る目' が少しずつ変わってきている気もします。
これは (批判されてしまいそうですが…それを覚悟で言うのならば、)
「他力本願のような状態からの脱却」だと感じています。
現:小林町長が選ばれた時、その選ばれ方や経歴から、'期待感'、あるいは'拒絶感'、 そしてその後、少なくない '他力本願感' があったように思います。
仏教用語でいうところの「他力」は仏様をさしてしまうため正確には全く違うものの、簡単に言えば「新町長さん、それほど言ってるのだから、後はよろしくね」という感覚です。
これは決して他人事ではなく、お恥ずかしながら私もそのように感じていた中の一人でした。
今、その段階を超えて、 「怖いけれど、見て見ぬふりはできない」「ちゃんと知って、自分たちで考えたい」という声が増えて来ているように感じるのです。
私もそんな町の声に背中を押していただいて、今日もちゃんと前を向いていられます。
これは真鶴町の未来にとって、本当に素晴らしい変化なのではないかと感じています。
当然ですが、町の未来は町長さん一人が決めていくものではなく、町民の声、それを代弁する議員さんたち(町議会) 、そして町長部局を筆頭に様々な案件ごとに異なる執行部の方たち、全員の議論によって決まっていくものだからです。
そして、町の未来を考えるには、'願い' や '善意' だけでは足りません。
現実として、'財政' というとってもリアルなお金のベースがあり、その中でどう選び、どう進めていくかが毎日問われています。
それでも同時に、人への思いやりや助け合い、つまり'利他の心'も、欠かせない力なんです。
私自身もそのバランスを大切にしながら、これからも皆さんの声に耳を傾け、町の未来を一緒に考えていけたら嬉しいです。
松木さんのように、地域に根ざした現実的な視点と、温かいまなざしを持ちながら。
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